お正月休みを利用して読み始めた本が、噂通りのめちゃくちゃ面白くて、ページを繰るのが楽しくて仕方がない!そんな体験がしたくて本を読んでいるんだなぁ、と改めて思ったりする.
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江戸幕末から明治期にかけて日本にやってきた外国人が絶賛でもって日本を記録している.そして文明開化を経て数十年した後、再度日本にやってきた外国人が「あの頃の日本は失われてしまった」と失望を記録している.
『文化は滅びないし、民族の特性も滅びはしない。それはただ変容するだけだ。滅びるのは文明だけだ』
百何十年か前のおっきな転換期のタイミングで文明が滅んでしまったのだ.
そんな滅んでしまった文明の面影を、
『私の意図するのは古きよき日本の相席でもなければ、それへの追慕でもない。私の意図はただ、一つの滅んだ文明の諸相を追体験することにある。外国人のあるいは感激や錯覚で歪んでいるかもしれぬ記録を通じてこそ、古い日本の文明の奇妙な特性がいきいきと浮かんでくるのだと私はいいたい。』
と作者は言う.だから、僕らもそんな距離感で読まなくてはいけない.
そんな外国人が何かを感じて記した日本の様子がめちゃくちゃに愛しくて読んでいて涙が出そうになったりする.ひとなつっこくて好奇心が強くて、おしゃべり好きで陽気で、子供っぽくてよく笑う、それでいて礼儀正しくて、みんな幸せそうな顔をしている、とか.
こればっかりは本を読んでもらって、追体験してもらうのが一番だと思うけれど、紹介されていた記録で好きなものを.
初代駐日英国公使オールコックが熱海に滞在中、飼っていたトビーという名前のスコッチテリアが死んでしまった.
宿の番頭さんに庭に埋めていいか聞いてみたら、自ら墓掘りをしてくれて、宿のみんなが自分の親族が死んだかのように悲しい顔つきで周りに集まってきた.
墓をほる手伝いをしてくれたり、かごに犬を包んでくれて、好物の豆を持ってきてくれて、墓に入った犬の頭の上に常緑樹の枝を一本差し込んでくれたり、寺の僧侶が水と線香を持ってきてくれて、ついでに埋められた場所を示すためにでこぼこの墓石を墓の上に置いてくれたり.
みんなでわんちゃんの墓を用意している場面を想像してみるだけで、愛しさがこみ上げて来てしまったのでした.誰かが飼っていた犬が死ぬ.飼い主が悲しむ.周りの人も同じように悲しくなる.そんな親和力を当たり前のように備えた時代の空気が満ちていたのだ思うと涙が出そうになる.
大河ドラマとかも面白いけどさ、歴史に記録されなかった素敵な日本人がたくさんいて、そういう人たちが社会の基盤にあったということ意識しておいた方がいい.そして、僕とかほとんどがそういう人たちの子孫なのだと思っておくといい.どこでどう変わっちゃったんだろう.